学生から「流動比率ってどのくらいですか?」と聞かれた日の話

こんにちは、ルトです。
採用担当として長く学生と向き合ってきましたが、毎年必ず印象に残る「質問」があります。

たとえば、

「御社の教育制度について詳しく教えてください」
「入社後のキャリアステップを知りたいです」
「御社の強みをどう考えていますか?」

こうした質問は“就活本”にもよく載っていて、聞かれることが多い定番中の定番です。

でもある年、私は少し違うタイプの学生に出会いました。
その学生が説明会の最後にこう聞いてきたのです。

「御社の流動比率って、どのくらいですか?」

……その瞬間、正直、ちょっと固まりました。

📊 「流動比率」とは何か?学生が触れにくい財務の話

まず、少しだけ説明をしておきます。
流動比率(Current Ratio) とは、会社の「短期的な支払い能力」を示す財務指標のひとつです。

計算式は以下のとおり:

流動比率(%)=(流動資産 ÷ 流動負債)×100

一般的に、

  • 200%程度あれば安心
  • 100%を下回ると注意が必要
    といわれています。

つまり、流動比率が高いほど「短期的な資金繰りが安定している会社」と見なされるわけです。

経営学や会計を学んでいる学生なら知っている人も多いかもしれませんが、
説明会や面接でいきなりこの質問が出てくることは、まずありません。

🤔 なぜ学生がそんな質問を?

その学生がなぜそんな質問をしたのか。
いくつかの可能性が頭に浮かびました。

  • 財務面から企業の安定性を判断したい
  • 財務指標を読める知識をアピールしたい
  • 経営学部や商学部で学んだ内容を活かしたい
  • 「他の学生とは違う質問をしたい」という意図

どれもありそうです。

特に近年は、就活生の中にも「企業の数字を見る」タイプが増えています。
上場企業のIR情報をチェックしたり、四季報を読んで比較したり。
就活が多様化する中で、“数字で企業を見る学生”が出てきたのは、とても良い傾向だと感じます。

😅 採用担当の本音:「それ、すぐには答えられません…!」

ただ、正直に言うと――
採用担当が流動比率を即答できることは、まずありません。

なぜなら、採用担当は主に「人」に関する仕事をしているからです。

  • 学生対応
  • 説明会の運営
  • 面接の調整
  • 採用計画の立案
  • 内定者フォロー

こういった業務がメインで、財務指標までは細かく把握していないことが多い。

もちろん会社の経営状況や安定性は把握しています。
でも「流動比率」という具体的な数字となると、それは 経理やIR担当、経営企画部の領域 になります。

そのため、私もその学生にこう答えました。

「すぐに正確な数字はお伝えできませんが、決算資料を見る限りでは安定している水準です。」

答えながら、内心は少し焦りつつも、
「この質問をしてくる学生、ただ者じゃないな」と感心していました。

💬 聞き方を少し変えるだけで、印象はぐっと良くなる

このエピソードをきっかけに感じたのは、
質問の仕方ひとつで印象が大きく変わる」ということです。

たとえば、同じ内容でも次のように聞かれると、印象はまったく違います。

  • ❌ 「流動比率ってどのくらいですか?」
  • ⭕ 「御社の財務面での安定性について、どのように考えておられますか?」
  • ⭕ 「IR資料などで見られる財務指標の中で、特に意識しているものはありますか?」

このように、背景を添えて聞くだけで、質問の目的が伝わりやすくなります。
採用担当も、「あ、この学生は単に数字を聞きたいわけじゃないんだ」と理解できます。

また、企業によっては流動比率や自己資本比率を公表していないケースも多いので、
「もし公表されていれば」という前置きをつけるのもおすすめです。

📈 採用担当の視点から見る「好印象な質問」

質問の“内容”よりも、“意図の伝え方”が大切です。

企業側が「おっ、この学生は深く考えているな」と感じるのは、
次のようなパターンです。

  • 企業研究の上で、気づいたことを具体的に聞いてくる
  • 一般的な質問でも、自分の価値観や学びと関連づけている
  • 「自分なりの視点」を持って話している

たとえば、会計を学んでいる学生なら、
「大学で財務分析を学んでいて、御社のIR情報も拝見しました。その中で気になった点がありまして…」
と前置きを入れるだけで、印象がまったく違います。

採用担当としても、「自分の学びを活かして企業研究をしている学生」は非常に好感を持てます。

🧠 数字を見る目を持つのは良い。でも「人」も見ること。

企業を選ぶときに、財務面の安定性を確認するのはとても大事です。
でも同時に、私が学生に伝えたいのは――

「数字の奥には、必ず“人の動き”がある」ということ。

流動比率が高いのはなぜか。
利益率が上がっているのはなぜか。
離職率が低いのはなぜか。

その裏には、社員の努力や文化、経営の考え方があります。
そこを理解して初めて、“企業を本当に見る目”が育つと思うんです。

財務指標はあくまで「結果」。
本当に見るべきは、その結果を生み出している「人と仕組み」です。

💡 採用担当としての学び

この経験を通じて、私自身も学びました。

学生から予想外の質問をされると、
つい「答えられなかった…」と反省してしまいがちですが、
実はそれは学生との新しい対話のきっかけなんですよね。

「なぜその質問をしたの?」と聞き返すと、
学生の価値観や考え方、勉強してきたことがよく見えてくる。

採用担当としても、そうした“意図の深い質問”をもっと歓迎したいと思いました。

✅ まとめ:数字の質問も「伝え方」で印象は変わる

  • 流動比率は、短期的な支払能力を示す財務指標
  • 学生からの質問としては珍しいが、企業研究の深さが伝わる
  • 採用担当は財務の専門家ではないため、即答は難しい
  • 「なぜその数字を知りたいのか」を添えて質問すると好印象
  • 財務指標だけでなく、「人」「文化」にも目を向けると理解が深まる

面接や説明会は、企業が学生を選ぶ場であると同時に、学生が企業を見極める場でもあります。
その中で、こうした“深い質問”をする学生に出会えるのは、私たち採用担当にとってもうれしい瞬間です。

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